瞑想の庭園の9体の彫像

瞑想の庭園

Garden of Reflection

反響の庭園とも呼ばれ、世界各地から収集した女神や女王の像などが飾られています。ホテルの閉鎖から13年の時が経ち、花壇は荒れ果て、石像は崩れています。当時は沢山の植物や花が咲き乱れる、美しい庭園でした。

スフィンクス像

1879
タワーオブテラーのスフィンクス

ヨーロッパ遠征の際にヴェネツィアで手に入れた、二体のスフィンクス像です。スフィンクスは古代エジプトで生まれ、ギリシャ神話やメソポタミア神話にも登場します。ピラミッドや神殿の守り神と言われており、入り口を挟んで置かれています。

カーリー像

1975
タワーオブテラーのカーリー像

カンボジア遠征で手に入れたカーリー像です。パールヴァティー、ドゥルガーの名前で知られるヒンドゥー教の女神で、2つの顔は破壊と創造といった二面性を表しています。シヴァ神の妻であるパールヴァティーは、アスラ族討伐の命を受け、その戦いの中でドゥルガーを経て、カーリーへと姿を変えます。彼女が身に着ける骸骨は全て倒されたアスラ族のものです。

カーリーと調べると、夫であるシヴァ神を踏みつけながら踊る姿が、多く見られるはずです。カーリー信仰は主に南インドで盛んであり、南に行くほどパークのようにカーリーが独立した形の像が増える傾向があります。また、インド南部からの移民が多い、マレーシアやタイといった東南アジアのヒンドゥー寺院でも、このタイプの像が多く見られます。

●看板の和訳
Keep to the path.
Ornamental plants / Do not touch
道に沿って進むこと
観賞用植物 / 手を触れるな

竜を抱える聖アーデン像

1879
タワーオブテラーのアーデン像

子供の竜を抱きかかえる、女性の像です。エントランスの右付近にある宮廷道化師と演奏家の彫刻、書斎にある椅子と共に、中世フランスの礼拝堂、セント・アーデン大聖堂の廃墟から持ち込まれました。この大聖堂は14世紀の当時の国王によって既に破壊されており、ハイタワー三世にしては珍しく略奪ではなく拾ってきた形になります。

●アーデンの由来
アーデンの名前は、該当する人物や歴史が見つからなかったので、恐らくアトラクションの為に作られ造語だと思います。しかし元ネタは有るだろうというわけで辿り着いたのが、イングランドに実在する「リンデスファーン修道院」の創設者、聖エイダンです。この修道院は、16世紀にイングランド国王(英国教皇)によって弾圧され、現在は廃墟と成っており、背景が少し似ています。

●聖母マリア
私達が記者会見の録音を聞く書斎は、別名「パークプレイスの竜」とも呼ばれており、これはハイタワー三世が、ドラゴンが好きなだけでなく、自分自身の強大さを竜と表現していることに由来します。これがどんな関係が有るのかと言うと、聖アーデンと子供の竜の姿は、聖母マリアが息子であるキリストを抱き抱える様子を連想させます。つまり、ハイタワー三世はこの像によって、自分はキリストと同格であると示しているのです。多分ね…。

クレオパトラ像

1887
タワーオブテラーのクレオパトラ像

クレオパトラといえば一般的に、プトレマイオス朝最後の女王、クレオパトラ7世を指します。彼女は胸を毒蛇に噛ませ自害したと言われており、この像にもその伝説が反映されています。

●看板の和訳
Syringa Foetida / Do not inhale
Do not stand within 10 feet of plant.
シリンガとフォエチダ / 吸引しないこと
植物の10ft以内に立入らないこと

有翼スフィンクス像

1888
タワーオブテラーのメソポタミアの女神像

ペルシア遠征で手に入れた、翼の生えたメソポタミアの女神像です。古代ペルシアでは女神であっても、その勇敢さや偉大さの象徴として頬髭が生えている事も多く、素顔の見えた女性のスフィンクスは珍しいとされています。

●銘板の和訳
Come share this tranquil bower where I have oft unshouldered my great burden to pausein quiet reflection. 私が肩の重荷を下ろし、思いに耽る為に何度も足を止めた、この静かな木陰を共有しよう。

アステカの女神像

1883
タワーオブテラーのシワコアトル像

シワコアトルや、コアトリクエの名前で知られるアステカの女神の像です。母性と豊饒の象徴であり、時に戦士としても尊敬されています。また、人類(メシカの民)の母とされ、ケツァルコアトルが絶滅した人類の骨を冥界ミクトランから持ち帰り、シワコアトルが石皿で粉にして、神々の血液と捏ねて作られたのが現在の人類と言われています。

一般的にシワコアトルは、頭にはワシの羽の冠をかぶり、手には機織棒を持っています。しかし「瞑想の庭園」の物は、より戦士の要素が強調されているのか、手には木製の持ち手に黒曜石の刃を付けた、古代アステカの武器「マクアフティル」を持っています。

●看板の和訳
Do not touch 手を触れるな
Contact with bloom will induce madness.
花との接触は狂気を引き起こす

ヴィーナス像

1882
タワーオブテラーのヴィーナス像

ローマ神話における愛と美の女神です。足首から下と貝殻の水盤以外は、設置後に無くなったのか、元々無かったのかは不明となっています。ローマ神話は、ギリシャ神話をベースに作られており、多くの神が名前を変えて登場します。ヴィーナスは、ギリシャ神話のアフロディーテに相当します。

●看板の和訳
Present’s Award for Best Show Garden
Waterfront Park horticulture society 1898
ベストショーガーデン 会長賞
ウォーターフロントパーク園芸協会 1898年

アフロディーテ像

1882
タワーオブテラーのアフロディーテ

ギリシャ神話における愛と美の女神で、頭部はホテル閉鎖後に落ちてしまった様です。ギリシャからローマに伝わったと書きましたが、その他の神話でも、「イナンナ(シュメール神話), イシュタル(バビロニア神話), アナーヒター(ペルシア神話), サラスヴァティー(インド神話), アスタルテ(エジプト神話), フレイヤ(北欧神話)」として存在しています。元々は別々の神でしたが、長い歴史の中で、その存在や役割が統一されて行きました。基本的に愛や美、生殖や豊穣を司り、金星の象徴でもあります。

ターラー像

1884
タワーオブテラーのターラー像

インド神話の女神「ターラー」は、母性や救済の神であり、仏教では多羅菩薩とも呼ばれます。タワテラの設定では「川の神」とされ、世界中の川の水は、彼女の長い髪から流れているとされています。ただ、実際の神話において、ターラーが直接的に「川の神」とされる事は、あまり一般的ではありません。

これに関して調べてみると、ターラーは地方や宗派によっては、ネーラ(青い)・サラスヴァティーとも呼ばれ、水や川の神であるサラスヴァティーと同一視する考えもあるようです。これを踏まえると、アトラクションでの扱いに関しても、一概に間違いとは言えないのかも知れません。

まとめ

Thank You

最後までお読み頂き、ありがとう御座いました。今回から、タワーオブテラーの入口から出口までの設定を、なるべく詳しく紹介していきたいと思います。いつもの如く低頻度の更新になるかと思いますが、最後まで是非お付き合い下さい。それではまた、次の記事で…。

参考にしたサイト
https://www.y-history.net/appendix/wh0103-063.html
http://ksean.com/blog/tower-of-terror-tokyo-disney-seas/
http://www.blog.vedicfolks.com/importance-neela-saraswati-homam/
http://walachia.web.fc2.com/tot.html
http://itsnoteasy.blog93.fc2.com/blog-entry-104.html

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